EVERSMILE(エバースマイル)
映画の紹介文、コメント、ショートレビュー的な雑文を書いています。何かの参考になれば幸いです。
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ビハインド・ザ・サン
原題:Abril Despedaçado
監督:ウォルター・サレス
脚本:ウォルター・サレス、セルジオ・マチャド、カリム・アイノズ
音楽:アントニオ・ピント
出演:ロドリゴ・サントロ、ラヴィ・ラモス・ラセルダ、ホセ・デュモント、リタ・アッセマニー、ルイス・カルロス・ヴァスコンセロス、フラヴィア=マルコ・アントニオ
製作:2001年、ブラジル

『ビハインド・ザ・サン』公式サイト
『ビハインド・ザ・サン』を上映している映画館は?

ストーリー
1910年、ブラジルでのできごと。長年土地の権利をめぐり血で血を洗う抗争を行為を繰り返す二つの家があった。そこではブレヴィス家とフェレイラ家が互いに報復を繰り返していた。兄を殺されてしまったブレヴィス家の次男トーニョ(ロドリゴ・サントロ)は、兄の血染めのシャツの血が黄ばんだころに兄を殺したフェレイラ家の人間を殺さなければいけないこととなった。

レビュー
臨場感溢れる素晴らしい映画のスクリーンを観ながら、重みのある普遍的なテーマを持つこの作品をしっかりと味わうことができた。私にとってはまさにこれぞ映画だと感じさせてくれた作品だ。もちろん行ったことはないのに、100年前のブラジルの大地がまさに目の前にある感覚を覚えた。

製糖で生計を立てているブレヴィス家は極貧の生活を送っているにもかかわらず、一家の父(ホセ・デュモント)は働き手でもある次男トーニョに報復を命じる。この土地の権利をめぐる家同士の争いは日本人である私にはには信じがたく衝撃的だった。長年の因習が両家の遺伝子として機能していた。

ブレヴィス家は世間とほとんど接点を持たない。ある日ブレヴィス家の前を通りがかったサーカス巡業を行なう二人組がブレヴィス家のまだ名前のない三男(ラヴィ・ラモス・ラセルダ)と出会う。その時から兄弟は自由な雰囲気に満ちた外の世界と接する。

ある日兄弟は街へサーカスを見に行き、まだ恋を知らなかったトーニョはサーカスで火を噴く女クララ(フラヴィア=マルコ・アントニオ)に純真な恋心を抱き、三男は曲芸師の男サルスティアーノ(ルイス・カルロス・ヴァスコンセロス)にパクーと命名される。ブレヴィス家の不自由さと家の外を一歩離れた世界でのサーカスの自由な雰囲気の対比が鮮やかに際立つ。

やがてトーニョにも報復される時が近づく。恋に目覚め、生への希望に満ちてきたトーニョの葛藤ぶりが観客を悩ませる。そして意外なラストシーンで物語りは終わりを迎える。このラストシーンは不自然という意見もあるけれど、そこには現実を超越した神の意志があったのだろうと理解している。

ブラジルの大地を舞台に、端正な顔立ちのロドリゴ・サントロ、天真爛漫な笑顔が素敵なラヴィ・ラモス・ラセルダ、グラマラスな曲芸師フラヴィア=マルコ・アントニオ、粗野で乱暴な父親を演じるホセ・デュモントなど数多くの魅力的な出演者によるこの物語は魔力的といってもいいほど不思議な魅力にあふれている。(2005年1月24日サロンシネマで鑑賞)

追記(注意:ネタバレ含みます。)
サーカスの火を噴く女のはかなり印象的で火を噴くシーンは驚いた。はじめは、この女優さんよく練習したなあと思ったが実は本当にサーカスをする人だったとは。この火噴き女クララとトーニョの二人の両想い具合の描き方が実にいい感じで、なんとかならないかなあと観客に思わせる。乾いた大地でずっと生活していたトーニョの出会った女はまさに彼にとっては豊かな女神だっただろう。グラマラスなだけでも魅力的だが、火を噴いたり、ロープをよじ登りくるくる回る様子は人間的なものを超えた美しさがあった。

ところで、トーニョは報復で人を殺しても当たり前のように対立するフェレイラ家の葬儀に出席していた。人を殺した人間が殺された人間の葬儀に出ることができる文化的風習の違いも驚きの一つだった。この葬儀のシーンもなかなか独特の雰囲気がある。

この映画のラスト目前、トーニョが殺したフェレイラ家の人間の血染めシャツをフェレイラ家の者が見て目の不自由そうな家長に「シャツの血は黄ばみました」と伝えるシーンがあったが、どう見てもまだそれが赤黒く見えたと思ったのは私だけではないだろう。

参考:ビハインド・ザ・サン@映画生活
参考:『ビハインド・ザ・サン』公式サイト

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コメント
この記事へのコメント
血の色
よくわかりませんでしたね。。。
俺なんか色のイメージしか残っていなかったから「黄色に色褪せるまで」って書いてしまった・・・
2005/01/30(日) 13:37:35 | URL | kossy #YaTS71PM[ 編集]
kossyさんへ
こんにちは。kossyさん。
TB&コメントありがとうございます。

実際、映画では「黄色に色褪せるまで」のようなことを言っていたと思います。
ただ、画面ではトーニョの殺した人物が着ていたシャツは満月の日のころそんなに黄色くなっていなかった印象があります。

じっくりともう一度この作品を味わいたいけれども、広島ではもうやっていないのです。DVDの発売予定もまだないみたいですね。もっと多くの人に見て欲しいなと思いました。

2005/01/30(日) 19:49:52 | URL | NOV #S4LeXHcY[ 編集]
まだ赤い血
やはり黄色になるまで待てない気持ちを表していたんじゃないでしょうか。
その「約束を破る」ことが、復讐の失敗を生むという、教訓を含んでいると思います。
停戦の期間を決めたり、最低限のお互いの「約束事」はあるようなので、その中で行われる復讐も、お互いが認めるところなのでしょうね。ちょっと普通じゃ考えられないですけどね。TBさせてください。
2005/03/01(火) 23:04:40 | URL | soramove #-[ 編集]
soramoveさんへ
なるほど。復讐の失敗の教訓まで含まれていることまで私の思いは及ばなかったです。興味深い考察ですね。コメントありがとうございました。トラックバックもどんどんしてください。
2005/03/02(水) 21:49:21 | URL | NOV #S4LeXHcY[ 編集]
シャツの色と空の色
こんばんは。
私もシャツに付いた血の色がまだ赤いのに「黄色くなった」って告げているのを見て、「嘘言ってるな~」って思いましたよ。でも、お父さんもその直後に「そろそろだ」って言っているから、以前にもそういうことはあったのかもしれない。解らないけど。
空の色がどこまでも青く、美しかったです。
2005/03/27(日) 00:37:40 | URL | FLUFFY #gnGfu6Fs[ 編集]
FLUFFYさんへ
コメントどうもありがとうございます。
FLUFFYさんもシャツの血は黄色に見えましたか。
嘘ついて復讐に出たから失敗を生んだのだろうけれど、その失敗の結末がアレというのはあまりにも悲劇ですね。
あの悲劇がなおさら世界を美しい色に染めたような気がします。
「モーターサイクルダイアリーズ」もいいけれど、個人的にはこういう作品はとても好きです。今ある世界から少し抜け出したいのかもしれませんね。サレス監督の撮る画というのは本当にいいですね。
2005/03/28(月) 08:48:00 | URL | NOV #S4LeXHcY[ 編集]
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 次の満月、血の色が黄色に褪せるまで・・・とりあえず休戦だ。 暗い背景の中にはためく血に染まったシャツ、突然映し出される大写しの月、地から手が生えて出たような朽ちかかった木のブランコ、等々。これらの映像が突拍子もなく登場するが、映画に妙に合っていて溶けこ
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