EVERSMILE(エバースマイル)
映画の紹介文、コメント、ショートレビュー的な雑文を書いています。何かの参考になれば幸いです。
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『トニー滝谷』公式サイト
『トニー滝谷』を上映している映画館は?

『トニー滝谷』が東京で1月に公開されて遅れること約3カ月。ようやく広島でも公開されました。原作は村上春樹の短編小説『トニー滝谷』です。村上春樹の映画は過去に数本製作されています。私は『風の歌を聴け』の映画作品をビデオで観たことはあるのですが、その時、映画よりも小説の方がいいと感じました。そして、この『トニー滝谷』に対しても同じように思うかもしれないと思いつつも映画館へ足を運びました。

映画『トニー滝谷』ですが、果たしてこれは映画と言えるのでしょうか。ナレーションが多用されておりこれはもはや映画とは別の作品のような気がしました。ナレーションに頼らないと村上春樹の小説世界の再現は難しいという見方もあるかもしれませんが、それでも村上春樹の作品が持つ世界をナレーションに頼らない方法で構築して欲しかったですね。例えばトニー滝谷がなぜトニー滝谷と呼ばれるかについて明らかになる場面では、ほとんどナレーションで理由が説明され、映像表現は挿絵程度にしか使われていません。きちんとアメリカ兵がトニー滝谷の父にセリフ付きでトニーの名前を提案するシーンを見せる映画的なやり方で製作して欲しいと感じました。ナレーションを映画で用いるべきではないという意見がある中、あえてナレーションを用いたのには明確な理由があるのだろうと思います。これは実験的試みと言えるのかそれとも村上春樹小説風世界を構築するための妥協的方法と言えるのかちょっと判断しかねるところです。

坂本龍一のゆったりとした音楽と西島秀俊のナレーションの融合音波によって私は眠くなり、起きて鑑賞するのが難しい時がありました。音楽もナレーションもよくできていたと思います。宮沢りえの一人二役もきちんと演技できていましたし、イッセー尾形も長髪の大学時代を除いては何の問題も無く演じていたと思います。多少違う点はあるもののおおむね小説の静謐さを忠実に再現したような作品です。いわゆる村上春樹作品を象徴する喪失感も出ていました。でも、小説には存在するどうでもいいようなある種の細かい描写が失われていたような気がします。でも、映画として作品全体をとらえると満足いく映画ではなくちょっと戸惑わされる映画でした。よくよく考えると原作の小説自体それほどお気に入りの話しだったわけではないのが満足度が低い理由かもしれません。また、原作に無い最後のワンシーンはちょっと余計でしょうか。(2005年4月16日シネツイン2で鑑賞)

トニー滝谷@映画生活にもレビュー・批評・感想があります。
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監督:市川準
原作:村上春樹
脚本:市川準
音楽:坂本龍一
出演:イッセー尾形、宮沢りえ、篠原孝文、四方堂亘
製作年度:2004年
製作国:日本
上映時間:75分

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コメント
この記事へのコメント
トラックバックさせていただきました
こんにちは。
どこかで、この映画の話しましたね。楽しみにされていたと思いますが、結果は今ひとつというところでしょうか。
この映画の方法は、仮に村上春樹作品だとしても、もう外の映画では使えないだろうと思います。
2005/04/21(木) 22:28:12 | URL | yas0233 #-[ 編集]
TBどうもです
はじめまして!!

私は、この映画の手法を応用発展させた野心作を、そのうち撮るんだろうな・・・と期待してます

村上春樹の文法の再現というよりは村上春樹への挑戦ともとれる人称の摺り替えと、観客に訴えかけながら拒絶する描写はまさに「映画的」だったと思います。
ナレーションをフラッシュバックで再現するというのはストーリーを語るに過ぎないという点で小説と大差はなく、市川準は物語を語りたいんでなく映画を撮りたかったのだ・・・と思いました。

もちろん、この映画がヒットしたり映画賞を総なめしたりするハズはないと思いますが、新しさを追求する姿勢は評価していいと思います。
2005/04/21(木) 23:40:03 | URL | しん #/bRx.BK6[ 編集]
お邪魔します
 こんばんは。まずはコメント&TB有難うございました。
 小説は全く知らずに観に行った者ではありますが,映画って言うより2人芝居だなって。それこそイッセー尾形の舞台=シチュエーション劇な感じで。
 まぁ最近の映画は多種多様なので,かつて程,気にならなくなってる自分がいましたねぇ。
 もっとも,感じ入るところが個人的に深かった分の贔屓目かも,ですが(汗)
2005/04/21(木) 23:50:44 | URL | ゆえひさ #gDAZjnbU[ 編集]
yas0233様へ
こんにちは。
コメント本当にありがとうございます。いまひとつといった印象をたしかに持ちました。でも、この映画『トニー滝谷』はおそらく上手く映画化できていると思います。それにもかかわらずもっと上手く作れたのではないかとも思うのです。的確にそれを説明することはできないけれど村上春樹の小説を読んだ時のような体にすうっとしみ込む感覚が映画には欠けていたような気がします。でも、もう私は夢中で村上春樹を読んでいたころよりもずっと歳を取ってしまったので村上春樹の小説そのものに対する感受性みたいなものが無くなっているのかもしれないとも思うのです。そういえば、ねじまき鳥以降の作品は全くと言っていいほど読んでないですし。だから、もし、五年くらい前に映画『トニー滝谷』があって、その時なら今よりも深く心に突き刺さったであろうと思います。評価がなかなか高いのに、私自身いまひとつにこの映画は感じられてしまうのでなんだかとても孤独感を味わっています。
他の作品では確かにこの手法はもう使えないかもしれないですね。
2005/04/22(金) 00:41:35 | URL | NOV #S4LeXHcY[ 編集]
しん様へ
はじめまして。
『トニー滝谷』のしん様の記事読ませていただきましたた。私の知らない事がいっぱい書いてあり大変ためになります。市川準監督は多くのサイトで評判がいいですね。監督の姿勢は評価させてもらっています。監督の作品は他に観たことが無い私ですがこの映画がきっかけで他の作品に興味を持ちました。他の作品を観てみようかと考えています。コメントありがとうございました。
2005/04/22(金) 02:11:44 | URL | NOV #S4LeXHcY[ 編集]
ゆえひさ様へ
こんばんは。
そうそう、二人芝居って感じです。イッセー緒方の孤独を感じていない雰囲気や、宮沢りえの透明感ある存在が印象的でした。原作では、トニー滝谷はそれなりに人に好かれるような記述がありますが、映画のそれはちょっとちがうかなあという印象はあります。あと、一人で観に行くべき映画かもしれないですね。コメントありがとうございました。
2005/04/22(金) 02:20:34 | URL | NOV #S4LeXHcY[ 編集]
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2/12 テアトル新宿にて市川準が村上春樹という格好の素材を得て、久々に市川準節を駆使して描く東京人の影と孤独。心にポツンと残る珠玉の小品であります!監督・脚本:市川準音楽:坂本龍一出演:イッセー尾形、宮沢りえ、篠原孝文、四方堂亘、谷田川さほ、他CF界の鬼才で
2005/04/21(木) 21:28:20 | こだわりの館blog版
前略、元気ですか?こちらは今日も寒かったです。そっちはきっともっと寒いんだろうね。温かい飲み物でも飲みながら、読んで下さい。今日は、仕事の合間を縫って、映画を見てきました。「トニー滝谷」という映画です。
2005/04/21(木) 22:19:16 | LM * The Letters about a MOVIE.
好きな台詞・・・というかナレーション「トニー滝谷の本当の名前は、本当にトニー滝谷だった」という面白すぎるナレーションで始まる本作は、全編映画演出の粋をこらした実験精神あふれる衝撃作だった。余談私の好きなタイプの映画・・・タイプなど関係なく面白い映画が好き
2005/04/21(木) 23:42:11 | 自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ
 映画,と呼んでいいモノなのか,その辺は実に微妙な部分があって,硬派な映画観のヒトは「こんなん,映画じゃねぇやぃ!」と一蹴すると思われる。でも,好きだなぁ。 作り込まないイッセー尾形の佇まいや,ナチュラルな宮沢りえの空気感とかが実にいい。
2005/04/21(木) 23:42:54 | 日々徒然ゆ~だけ
TONY TAKITANI(2004年 日本)2005/4/4@ユーロこれ、今んとこ今年のベスト。もしくは『ビフォア・サンセット』と並んで同率1位。駆け込みだったけど、観れて本当によかった。ちなみに映画を観た時点で原作は未読。あらすじはどこかほかのところでお願いします。この映画、
2005/04/22(金) 01:13:36 | befounddead
監:市川準 出:イッセー尾形 宮沢りえ   4点 劇場予告編を観てどうしても観たくなった作品。でも、予告編をみて「こんなものを観せてもらえそう」あるいは「観たい」と思った期待と、実際の作品とにギャップがあったみたい。響く人にはすごく響くけど、
2005/04/22(金) 05:12:15 | gantakurin's シネまだん
【シネテリエ天神】現実世界のリアルさとメルヘンが絶妙に融合したと言ったらよいのか、まずは村上春樹の小説世界が破綻なく映像化されています。イッセー尾形と宮沢りえの芝居も立派なものだし、なにより坂本龍一の音楽が印象的。西島秀俊によるナレーションの耳障りの良さ
2005/04/23(土) 23:27:00 | A Moviegoer in Fukuoka
「トニー滝谷の本名は、トニー滝谷だ。」エジプト帰国後、初の自腹鑑賞はトニー滝谷。今日はサービスdayなので、1000円で鑑賞。村上春樹の短編小説を市川準が監督した作品。主演はイッセー尾形と宮沢りえ。75分の短編(?)映画。孤独な人生をすごしてきたトニー滝
2005/04/24(日) 13:33:06 | ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!
トニー滝谷TONY TAKITANI2004年│日本│35mmカラー│ヴィスタ│75minイッセー尾形 宮沢りえナレーション/西島秀俊監督・脚本/市川準  製作/橋本直樹・米澤桂子  プロデューサー/石田基紀  原作/村上春樹「トニー滝谷」(『レキシントンの幽霊』所収)  音楽/坂本龍一 
2005/04/24(日) 14:50:35 | THE LAKE OF PHANTOM
トニー滝谷ま、期待して見た訳じゃないから、いいんだケド、、、今のあたしには、こんな映画は、合わない。全編が小説?ず~っとプロローグで、やっとお話しが始まったと思ったら、、、終わってしまいますた!!ま、こんな事もあるでしょ?ま、こんな人もいるでしょ....
2005/10/02(日) 13:09:54 | 猫姫じゃ
ヒューマン=ブラック・ボックス -映画のご紹介 トニー滝谷-「トニー滝谷」を見た。これは、村上春樹の短編小説集 「レキシントンの幽霊」(1996年 文藝春秋社刊)からの同名の短編の映画化だ。短編自身の発表は文藝春秋の1990....
2005/12/30(金) 11:41:52 | ヒューマン=ブラック・ボックス

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